2024.09.25

第22回はた映画上映会(4作品)

35mmフィルム映写機による特別上映会「優秀映画鑑賞推進事業」

今回の「はた映画上映会」は、特別上映会として昔懐かしい35mmフィルムでの上映を行います!日本映画の名作4作品を2日間に渡ってご覧いただきます。
男⼥の⼼のあやを冷徹な視線で描写した成瀬⺒喜男監督と、叙情的な作⾵で多くの観客を魅了した⽊下惠介監督の作品を紹介。
フィルムを巻き取る機材の音も合わせてお楽しみください。

 

公演情報

日程2024年11月1日(金)〜2日(土)
時間両日とも 午前の上映 開映10:00(開場 9:30)、午後の上映 開映14:00(開場 13:30)
会場松本市波田文化センター アクトホール
プログラム【11月1日(金)】成瀬巳喜男監督 2作品上映

  1. 「めし」 10:00開映(9:30開場)
  2. 「浮雲」 14:00開映(13:30開場)

【11月2日(土)】木下恵介監督 2作品上映

  1. 「二十四の瞳」 10:00開映(9:30開場)
  2. 「野菊の如き君なりき」 14:00開映(13:30開場)
チケット料金全席指定(税込)
500円(1作品)
チケット発売日2024年10月1日(火)9時
プレイガイド松本市波田文化センター
窓口購入:1階事務所にお越しください(10時〜17時)
電話予約:0263-92-7501(10時〜17時)
※ご予約後のキャンセルはご遠慮ください
※月曜日・祝日の翌日は休館です。
チラシ
チラシを見る(PDF)
主催等主催:一般財団法人松本市芸術文化振興財団/国立映画アーカイブ
特別協力:文化庁/一般社団法人日本映画製作者連盟/全国興行生活衛生同業組合連合会/株式会社KADOKAWA
後援:松本市・松本市教育委員会
企画制作:松本市波田文化センター
お問い合わせ松本市波田文化センター(9時〜17時)
TEL:0263-92-7501 FAX:0263-92-7505
お問い合わせフォーム

 

見どころ

めし(1951年 東宝)

黒澤、溝口、小津に続く〈日本の四番目の巨匠〉として、世界中の映画批評家から熱い視線を受ける成瀬巳喜男監督の代表作。監督を〈世界のナルセ〉の地位に押し上げる功のあったアメリカの映画批評家オーディ・ボックなどは、本作を成瀬作品のなかでもっとも好きな作品と語っている。
結婚生活も5年が過ぎ、倦怠期を迎え始めた夫婦。そこに突然、夫の姪が転がり込んできたことから、単調だった二人の暮らしに思いもよらぬ波乱が生じはじめる。美男美女の主演二人が、本作ではともに中年にさしかかり、平凡で退屈な男と所帯やつれした女になったさまを、見事に好演している。
原作は林芙美子による未完の新聞連載小説。その結末を含め、脚色を委ねられた田中澄江と井手俊郎の良質な叙情と煥発する才気とが美しく調和し、繊細極まりない成瀬の演出と玉井正夫の撮影のなかに開花している。「キネマ旬報」ベストテン第2位。
(白黒/スタンダード/モノラル/97分)

出演:上原謙、原節子、島崎雪子、杉葉子、風見章子、杉村春子 ほか
原作:林芙美子
監修:川端康成
脚色:田中澄江、井手俊郎
監督:成瀬巳喜男

浮雲(1955年 東宝)

戦中から戦後まもなくスランプ状態にあった成瀬監督は、林芙美子原作の『めし』(1951)を映画化して再起のきっかけとした。その後、同原作者の『稲妻』(1952)、『妻』(1953)、『晩菊』(1954)や室生犀星の『あにいもうと』(1953)、川端康成の『山の音』(1954)の映画化に成功し、〈文芸映画〉〈女性映画〉の第一人者と言われるようになった。
この作品は、林文学の最晩年の長篇小説を映画化したものであり、戦時中、勤務先の仏印で激しい恋に陥った一組の男女が、戦後の荒廃した日本でその不倫関係断ち切れない様子を描いたものである。あきらめても裏切られても離れられない二人のやるせなさは、なにかにすがりつかずには生きていけない人間の業の深さを描いた成瀬の代表作といえよう。
微妙な心の揺れを表現した高峰秀子と森雅之の演技は敬服すべきものがあり、小津安二郎をして「オレにできないシャシンは溝口の『祇園の姉妹』と成瀬の『浮雲』だ」と言わしめた。「キネマ旬報」ベストテン第1位。
(白黒/スタンダード/モノラル/123分)

出演:高峰秀子、森雅之、岡田茉莉子、山形勲、中北千枝子、加東大介 ほか
原作:林芙美子
脚色:水木洋子
監督:成瀬巳喜男

二十四の瞳(1954年 松竹(大船))

壷井栄が1952年に発表した児童小説を、当時気鋭の中堅監督であった木下恵介が脚色・監督した作品。小豆島の豊かな自然を背景に、戦争をはさんだ激動の時代を、小学校の教師とその教え子たちの成長を通して描き、国民的大ヒットとなった感動大作である。
風光明媚な島の自然をとらえるために長期にわたるロケーションが行われたのはもちろんだが、セット撮影であることを感じさせず、「自然のように」見せる配慮が画面の隅々まで行き届いていることも見逃せない。小学唱歌のみを用いた音楽も特徴的である。木下はこの作品の成功で、一般には叙情派監督として大きく印象づけられることになった。
冒頭の場面と同じく再び自転車に乗って、岬の分教場に向かう主人公、大石先生を小さく映し出すラストシーンには、毫も変わらぬ自然、その中を点景のごとく生きていく人間、そして人間の営みに対する木下の思想が集約されている。「キネマ旬報」第1位をはじめ、この年の映画賞を独占した。
(白黒/スタンダード/モノラル/155分)

出演:高峰秀子、月丘夢路、小林トシ子、井川邦子、田村高広、笠智衆 ほか
原作:壷井栄
脚色・監督:木下惠介

野菊の如き君なりき(1955年  松竹(大船))

原作は、明治の歌壇で正岡子規に師事した著名な歌人、伊藤左千夫の小説「野菊の墓」。
数十年ぶりに故郷を訪れた老人の追想が、信州の美しい自然を背景に回想形式で描かれる。旧家に育った少年と、2歳年上のいとこの少女との淡い恋愛が、古い道徳観に縛られる大人たちによってとがめられ、二人は離ればなれにされてしまう…。その思い出を回想する場面で、木下監督は、スタンダード・サイズの画面を白地の楕円形で囲むという大胆な表現形式を採用し、シネマスコープならぬ「たまごスコープ」と称されて話題となった。この作品では、木下の叙情性がストレートに表現されているとともに、詠嘆的美しさとしての完成度が感じられるものとなっている。
主人公に起用された有田紀子と田中晋二は無名の新人で、演出意図に沿った初々しさを充分に発揮している。「キネマ旬報」ベストテン第3位。
(白黒/スタンダード/モノラル/92分)

出演:有田紀子、田中晋二、 笠智衆、田村高広、小林トシ子、杉村春子 ほか
原作:伊藤左千夫
脚色・監督:木下恵介

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